はじめに
経審(経営事項審査)のP点(総合評定値)を構成する5つの評点のうち、X2評点(自己資本額・平均利益額)は比重15%です。売上規模を見るX1評点とは異なり、会社に蓄積された財務体力を評価します。
「節税のために利益を抑えてきたが経審の点数が低い」「自己資本が弱いと言われたが何をすればいいか分からない」という相談は少なくありません。この記事では、X2評点の仕組み・計算方法・改善の方向性を三重県の手引きをもとに解説します。
X2評点とは
X2評点は、自己資本額の点数(X21)と平均利益額の点数(X22)の合計を2で割った数値(小数点以下切り捨て)です。
X2評点の計算式:
X2 = { 自己資本額の点数(X21)+ 平均利益額の点数(X22) } ÷ 2
X2 = { 自己資本額の点数(X21)+ 平均利益額の点数(X22) } ÷ 2
| 項目 | 内容 | 選択できる基準 |
|---|---|---|
| X21(自己資本額) | 貸借対照表の純資産合計の額 | 基準決算または2期平均 |
| X22(平均利益額) | 営業利益+減価償却実施額(利払前税引前償却前利益)の2年平均 | 2期平均のみ |
自己資本額の点数(X21)
X21は、貸借対照表の純資産合計の額を以下のテーブル表(手引き表14より抜粋)に当てはめて求めます。
| 自己資本の額(純資産合計) | 点数の計算式 |
|---|---|
| 5億円以上 6億円未満 | 18×自己資本額÷100,000+759 |
| 4億円以上 5億円未満 | 21×自己資本額÷100,000+744 |
| 3億円以上 4億円未満 | 27×自己資本額÷100,000+720 |
| 2億5,000万円以上 3億円未満 | 15×自己資本額÷50,000+711 |
| 2億円以上 2億5,000万円未満 | 19×自己資本額÷50,000+691 |
| 1億5,000万円以上 2億円未満 | 23×自己資本額÷50,000+675 |
| 1億2,000万円以上 1億5,000万円未満 | 16×自己資本額÷30,000+664 |
| 1億円以上 1億2,000万円未満 | 13×自己資本額÷20,000+650 |
| 8,000万円以上 1億円未満 | 16×自己資本額÷20,000+635 |
| 6,000万円以上 8,000万円未満 | 19×自己資本額÷20,000+623 |
| 5,000万円以上 6,000万円未満 | 11×自己資本額÷10,000+614 |
| 4,000万円以上 5,000万円未満 | 14×自己資本額÷10,000+599 |
| 3,000万円以上 4,000万円未満 | 16×自己資本額÷10,000+591 |
| 2,500万円以上 3,000万円未満 | 10×自己資本額÷5,000+579 |
| 2,000万円以上 2,500万円未満 | 12×自己資本額÷5,000+569 |
| 1,500万円以上 2,000万円未満 | 14×自己資本額÷5,000+561 |
| 1,200万円以上 1,500万円未満 | 11×自己資本額÷3,000+548 |
| 1,000万円以上 1,200万円未満 | 8×自己資本額÷2,000+544 |
| 1,000万円未満 | 223×自己資本額÷10,000+361 |
自己資本額は千円単位で計算。点数に小数点以下の端数がある場合は切り捨て。5億円以上の区分は手引き表14をご参照ください。
計算上の注意点
自己資本額の取り扱い
- 自己資本の額が0円に満たない場合(債務超過)は0円とみなします
- 資本性借入金(金融機関との間で一定の条件を満たす借入金)がある場合は、所定の証明書により自己資本に加算して申請できます
- 基準決算(当期末)または2期平均のどちらかを選択できます
平均利益額の点数(X22)
X22は、利払前税引前償却前利益(営業利益+減価償却実施額)の2年平均の額を以下のテーブル表(手引き表15より抜粋)に当てはめて求めます。
| 平均利益額(2年平均) | 点数の計算式 | |
|---|---|---|
| 5億円以上 6億円未満 | 28×平均利益額÷100,000+777 | |
| 4億円以上 5億円未満 | 32×平均利益額÷100,000+757 | |
| 3億円以上 4億円未満 | 37×平均利益額÷100,000+737 | |
| 2億5,000万円以上 3億円未満 | 21×平均利益額÷50,000+722 | |
| 2億円以上 2億5,000万円未満 | 24×平均利益額÷50,000+707 | |
| 1億5,000万円以上 2億円未満 | 27×平均利益額÷50,000+695 | |
| 1億2,000万円以上 1億5,000万円未満 | 20×平均利益額÷30,000+676 | |
| 1億円以上 1億2,000万円未満 | 15×平均利益額÷20,000+666 | |
| 8,000万円以上 1億円未満 | 16×平均利益額÷20,000+661 | |
| 6,000万円以上 8,000万円未満 | 19×平均利益額÷20,000+649 | |
| 5,000万円以上 6,000万円未満 | 12×平均利益額÷10,000+634 | |
| 4,000万円以上 5,000万円未満 | 12×平均利益額÷10,000+634 | |
| 3,000万円以上 4,000万円未満 | 15×平均利益額÷10,000+622 | |
| 2,500万円以上 3,000万円未満 | 8×平均利益額÷5,000+619 | |
| 2,000万円以上 2,500万円未満 | 10×平均利益額÷5,000+609 | |
| 1,500万円以上 2,000万円未満 | 11×平均利益額÷5,000+605 | |
| 1,200万円以上 1,500万円未満 | 7×平均利益額÷3,000+603 | |
| 1,000万円以上 1,200万円未満 | 6×平均利益額÷2,000+595 | |
| 1,000万円未満(0円以上) | 78×平均利益額÷10,000+547 | |
| 0円未満 → 0円とみなす | — | 547点 |
平均利益額は千円単位で計算。点数に小数点以下の端数がある場合は切り捨て。5億円以上の区分は手引き表15をご参照ください。
利払前税引前償却前利益とは:
営業利益 + 減価償却実施額支払利息・法人税等を控除する前の利益に減価償却を加え戻した額です。設備投資が多い会社でも減価償却分が加算されるため、実態に近い収益力を示します。
営業利益 + 減価償却実施額支払利息・法人税等を控除する前の利益に減価償却を加え戻した額です。設備投資が多い会社でも減価償却分が加算されるため、実態に近い収益力を示します。
利払前税引前償却前利益の平均が0円に満たない場合は0円とみなします。0円とみなした場合のX22は78×0÷10,000+547=547点が最低点になります。
基準決算と2期平均の選択
自己資本額(X21)は基準決算(当期末)または2期平均のどちらかを選択できます。
| 基準決算(当期末) | 2期平均 | |
|---|---|---|
| 有利なケース | 当期に大きな利益が出た・増資をした | 前期の純資産が高く当期が低い |
| 不利なケース | 当期が赤字で純資産が減少した | 2期とも赤字・純資産が低い |
X2評点を上げるための方向性
改善の方向性
X21(自己資本額)を上げるには
- 毎期の利益を社内に積み立てる:利益剰余金が積み上がるほど純資産が増加します。役員報酬・配当を過大にせず、会社に利益を残すことが基本です。
- 増資を検討する:資本金の増加は直接純資産の増加につながります。
- 資本性借入金の活用:金融機関との借入条件が一定要件を満たす場合は、公認会計士・税理士等の証明書を取得することで自己資本に加算できます。
改善の方向性
X22(平均利益額)を上げるには
- 営業利益を増やす:完成工事の粗利改善・経費削減が直結します。
- 節税と経審のバランスを意識する:税務上の節税(役員報酬の増加・経費の前倒し計上等)は営業利益を減少させX22に影響します。経審の申請を控えた決算期には税理士と相談しながら対応してください。
- 減価償却を継続実施する:減価償却実施額はX22に加算されます。設備投資している場合は継続的に減価償却を実施することが重要です。
事前に知っておきたいこと
節税優先の経営は X2評点に影響します
税務上は問題なくても、利益を圧縮することで営業利益(X22)・利益剰余金(純資産)が減少し、X2評点に直接影響します。
経審を受けている会社は、決算前に税理士と経審への影響を確認することをお勧めします。
税務上は問題なくても、利益を圧縮することで営業利益(X22)・利益剰余金(純資産)が減少し、X2評点に直接影響します。
経審を受けている会社は、決算前に税理士と経審への影響を確認することをお勧めします。
X2評点は前年の決算で決まります
申請直前に改善することはできません。自己資本の積み上げは中長期的な取り組みが必要です。
申請直前に改善することはできません。自己資本の積み上げは中長期的な取り組みが必要です。
X2はX1・Z・Wと組み合わせて改善する必要があります
X2の比重は15%です。X2だけを改善してもP点全体への効果は限られます。比重の高いX1(25%)・Z(25%)と組み合わせて改善することが重要です。
X2の比重は15%です。X2だけを改善してもP点全体への効果は限られます。比重の高いX1(25%)・Z(25%)と組み合わせて改善することが重要です。
当事務所でできること
🏛 行政書士髙橋大輔事務所(三重県鈴鹿市)
「財務面でどこが評点に影響しているか分からない」「基準決算と2期平均のどちらが有利か確認したい」という段階からご相談に応じます。決算書の内容を確認しながら、改善できる項目を一緒に整理します。
初回のご相談・お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。
まとめ
【免責事項】本記事は三重県建設業課発行の公式資料(令和8年4月版)をもとに一般的な情報提供を目的として作成しています。法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。

