はじめに
しかし経審は1か所に申請すれば終わりではなく、決算変更届の提出・民間機関への申請・三重県への申請と、複数の手続きが順番につながっています。
「準備が遅れて有効期間が切れてしまった」「審査当日に書類が足りなくて受審できなかった」といったトラブルは、流れを把握していないまま進めてしまうことが原因のほとんどです。
この記事では、決算変更届の提出から結果通知書の受領まで、各ステップで必要な書類・注意点・よくあるトラブルを三重県の手引きをもとに解説します。
初めて受審する方も、毎年手続きをしている方もぜひ確認してください。
経審の全体の流れ(概要)
経審は1か所に申請すれば終わりではなく、複数の機関への手続きが順番につながっています。全体の流れをざっくり把握してから準備に入ると、何が必要かが見えやすくなります。
| 順序 | 何をするか | どこへ | 目安の期間 |
|---|---|---|---|
| ① | 決算変更届を提出する | 三重県(管轄建設事務所) | 決算後4か月以内が期限 |
| ② | 財務の評価を民間機関に申請する | 登録経営状況分析機関(民間) | 結果まで数日〜2週間程度 |
| ③ | 経審本体を三重県に申請する | 三重県(管轄建設事務所) | 事前に予約が必要 |
| ④ | 審査を受ける | 審査会場(管轄建設事務所) | 予約日に来場または郵送 |
| ⑤ | 結果通知書を受け取る | 三重県から郵送 | 申請の翌々月20日ごろ |
STEP1:決算変更届(事業年度終了届)を提出する
決算変更届とは、「今年度の工事実績と財務内容」を三重県に報告する書類です。これが出ていないと経審を受けられません。決算後4か月以内の提出が建設業法上の決まりです。
提出する主な書類
- 工事経歴書(その年に完成させた工事の一覧)
- 直前3年の工事施工金額の合計
- 貸借対照表・損益計算書などの財務書類
- 代表者・商号・所在地に変更があれば変更届も合わせて提出
経審を受ける場合の工事経歴書は書き方が異なる
経審を受けるときの工事経歴書は、通常の決算届用とは書き方のルールが違います。元請として請け負った工事の金額が多い順に7割を超えるまで書き、そのあとで残りの工事を書くというルールに従う必要があります。
工事実績として使えないものに注意
工事の売上として計上できるのは「建設工事の請け負い」のみです。次のような業務は工事実績に含めることができません。
- 建設資材の販売
- 草刈り・除雪・剪定・施肥などの管理作業
- 浄化槽の清掃・ボイラーの洗浄などの保守点検
- 測量・設計・工事の監理業務
- 法面の草刈り・側溝の泥上げ(単独で発注されたもの)
STEP2:財務の評価を民間機関に申請する
経審の点数のうち「財務の健全さ(Y評点)」だけは、三重県ではなく国が認定した民間の分析機関が計算します。三重県への申請より先に済ませておく必要があります。
主な分析機関(令和6年9月現在)
- (一財)建設業情報管理センター
- (株)マネージメント・データ・リサーチ
- ワイズ公共データシステム(株)
- (株)経営状況分析センター など全10機関
機関によって手数料・処理にかかる日数・申請方法が違います。初めての場合は複数を比べて選ぶとよいでしょう。結果通知書が届いたら、次のSTEP3の申請書類に添付して使います。
STEP3:三重県に経審の申請をする
審査の日時は事前予約が必要です。原則として、本社(主たる営業所)の所在地を管轄する建設事務所で受審します。電話で予約できます。
提出する主な書類
- 経営規模等評価申請書・総合評定値請求書
- 工事の種類別の完成工事高一覧(別紙一)
- 技術職員名簿(別紙二)
- 社会保険や建設機械などの状況(別紙三)
- STEP2で取得した経営状況分析結果通知書(原本)
- 手数料(三重県収入証紙。1業種の場合11,000円)
- 各業種の上位3件分の工事契約書など
インターネットでも申請できます(電子申請)
令和5年1月から、インターネットでの電子申請も使えるようになりました。電子申請だと結果通知が翌月20日ごろと早く、手数料も少し安くなります(1業種の場合10,400円)。
申請できる期間に注意
経審は直前の決算日を基準日として申請します。次の決算日が来ると、前の決算日では受審できなくなります。また、申請日から1年以上前の決算日を基準日にすることもできません。決算が終わったら早めに動き出すことが大切です。
STEP4:審査当日の流れ
審査会場での当日は、次の順番で進みます。
| 順番 | 内容 |
|---|---|
| ①受付 | 予約時間に来場し、書類一式を提出する |
| ②技術者の確認 | 技術職員名簿と証明書類の照合 |
| ③工事実績の確認 | 完成工事高や各審査項目のチェック |
| ④全体確認 | 書類全体の最終確認・修正の指示など |
| ⑤受付完了 | 正式に受け付けられ、副本(控え)が返却される |
STEP5:結果通知書を受け取る
申請した翌々月の20日ごろ(電子申請は翌月20日ごろ)に、書留郵便で結果通知書が届きます。この通知書に総合評定値(P点)が記載されています。
受け取ったあとの注意事項
- 結果通知書は再発行してもらえないため、絶対になくさないように保管する
- 内容に間違いがあった場合は、受け取った日から30日以内に申し立てができる
- 入札参加資格の申請(名簿登録)のときに提出が必要になる
- 三重県の入札参加者名簿は3か月ごとに更新される
こんなトラブルが多い——準備前に確認を
トラブル①:決算変更届を出していなかった
一番多いケースです。審査当日に発覚すると、その日は受審できません。「最後に提出したのはいつか」を事前に確認しておきましょう。
トラブル②:技術者が常勤かどうか証明できなかった
技術者として点数に入れられるのは、6か月以上継続して雇用されている正規の従業員だけです。パート・アルバイト・有期契約の人は対象外のため、雇用形態を事前に整理しておきましょう。証明書類として雇用保険の台帳や社会保険の通知書が必要です。
トラブル③:工事経歴書の金額と契約書の金額が合わない
審査で確認作業に時間がかかります。提出前に工事経歴書に書いた金額と手元の契約書・注文書の金額を照合し、付箋などで整理しておきましょう。
トラブル④:有効期間が切れてしまった
申請が遅くなると結果通知書も遅くなり、有効期間が短くなります。最悪の場合、有効期間が途切れて公共工事を受注できない期間が生じます。決算後4〜5か月以内に申請する習慣をつけましょう。
トラブル⑤:技術者の講習の有効期限が切れていた
監理技術者講習は、受けた年の翌年1月1日から5年間有効です。期限が切れると点数が下がるため、技術者ごとに資格証・講習の期限を一覧にして管理することをお勧めします。
3月末決算の場合の年間スケジュール目安
| 時期 | やること |
|---|---|
| 4〜5月 | 決算確定・工事経歴書と財務書類を税抜きで作成する |
| 5月中 | 決算変更届を提出する(法律上の期限は7月末) |
| 5月下旬〜6月 | 経営状況分析を民間機関に申請する |
| 6〜7月 | 三重県に経審を申請する(予約を取ってから) |
| 8〜9月 | 結果通知書が届く(申請の翌々月20日ごろ) |
| 随時 | 入札参加資格の申請・名簿への登録(3か月ごとに更新) |
「何から始めればいいか分からない」という段階からご相談に応じます。決算変更届の確認・経営状況分析の申請・経営規模等評価の申請書類作成まで、一括してサポートいたします。
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