経審のW点(社会性等)とは?計算の仕組みと改善方法を解説【三重県版】


はじめに

経審(経営事項審査)のP点(総合評定値)を構成する5つの評点のうち、W評点(社会性等)は比重15%です。社会保険の加入状況・営業年数・防災協定・建設機械の保有など、会社の社会的な取り組みを幅広く評価します。

W評点は取り組み次第で改善できる項目が多い一方、社会保険の未加入は大きな減点になります。この記事では、W1〜W8の各項目の仕組み・点数・改善方法を三重県の手引きをもとに解説します。

W評点の仕組み

W評点はW1〜W8の8項目の点数の合計に×10×175/200を乗じて求めます(小数点以下切り捨て)。

W評点の計算式:
W = (W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8)× 10 × 175/200
項目 内容 最大点数
W1 建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組(社会保険・建退共・退職金・法定外労災・CPD・CCUS・えるぼし等) ※減点あり
W2 建設業の営業継続の状況(営業年数・民事再生法等) 60点
W3 防災協定締結の有無 20点
W4 法令遵守の状況(建設業法第28条による処分) 0点(減点のみ)
W5 建設業の経理に関する状況(監査受審・建設業経理士) 20点+テーブル
W6 研究開発の状況(会計監査人設置会社のみ対象) 25点
W7 建設機械の保有状況 15点
W8 ISO・エコアクション21の登録状況 10点

W1:建設工事の担い手の育成及び確保に関する取組

W1は社会保険・退職金制度・若年技術者育成・CPD・CCUSなど10項目で構成されます。

W1の計算式:
W1 = {(W14+W15+W16)×15} - {(W11+W12+W13)×40} +(W17+W18+W19+W110)

※上記の点数はW1内の計算値です。実際のW評点への影響はW1の合計に×10×175/200が乗算されます。
W14:建退共への加入(有:1・無:0)
W15:退職一時金制度または企業年金制度の導入(有:1・無:0)
W16:法定外労災上乗せ保険への加入(有:1・無:0)
W17:若年技術者・技能者の育成及び確保の状況(最大2点)
W18:知識・技術・技能の向上に関する取組の状況(CPD・技能レベル向上、最大10点)
W19:ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況(えるぼし・くるみん等、最大5点)
W110:就業履歴蓄積措置の実施状況(CCUS、最大15点)

W11〜W13:社会保険の加入状況(減点項目)

雇用保険・健康保険・厚生年金保険の未加入1項目につきW1内で×40点の減点になります。

未加入の状況 W1内での減点
3項目すべて未加入 120点
2項目未加入 80点
1項目未加入 40点
3項目すべて加入 減点なし
社会保険未加入は最優先で対処すべき項目です:建退共・CCUSなど他の加点項目でどれだけ積み上げても、社会保険未加入があると大きな減点で打ち消されます。まず社会保険の完全加入を最優先に取り組んでください。

社会保険の適用除外とは

法律上、社会保険への加入義務がない場合は「適用除外」として申請します。適用除外の場合は減点になりません。

保険の種類 適用除外の主な条件
雇用保険 従業員が1人もいない(代表者のみ)・農林水産業等の特定業種 等
健康保険 常時5人未満の従業員を使用する個人事業主(任意適用)・国保組合への加入者 等
厚生年金保険 常時5人未満の従業員を使用する個人事業主(任意適用) 等
法人の場合:法人は原則として従業員数に関わらず健康保険・厚生年金保険への加入が義務です。「常時5人未満だから適用除外」は個人事業主に限られます。法人で未加入の場合は「適用除外」ではなく「未加入(無)」として扱われ、減点対象になります。
「有」「無」「適用除外」の区分を正確に申請してください:別紙三の記載を誤ると、審査当日に確認書類との不一致が発生します。加入状況・適用除外の根拠を確認した上で申請してください。

建設業許可との関係

令和2年10月の建設業法改正により、社会保険への加入は建設業許可の要件のひとつになっています。
許可申請書(様式第一号)の「健康保険等の加入状況」欄に正確に記載する必要があります。

W14〜W16:建退共・退職金・法定外労災(加点項目)

各1項目あたりW1内で+15点。

項目 内容 点数
W14 建設業退職金共済制度(建退共)への加入 +15点
W15 退職一時金制度または企業年金制度(中退共・確定拠出年金等)の導入 +15点
W16 法定外労災上乗せ保険への加入(①通勤災害を含む ②下請業者の職員も対象 ③死亡・障害等級1〜7級すべて対象 の3要件を満たすこと) +15点

W17:若年技術者・技能者の育成及び確保の状況(最大2点)

項目 条件 点数
若年技術職員の継続的な育成及び確保(表19) 技術職員全体に対する若年技術職員の割合が15%以上 1点
15%未満 0点
新規若年技術職員の育成及び確保(表20) 技術職員全体に対する新規若年技術職員の割合が1%以上 1点
1%未満 0点
若年技術職員は35歳未満の技術職員。新規若年技術職員は審査基準日前1年間に新たに雇用した35歳未満の技術職員です。

W18:知識・技術・技能の向上に関する取組の状況(最大10点)

W18の計算式:
W18 =(技術者数÷(技術者数+技能者数))× 技術者点 +(技能者数÷(技術者数+技能者数))× 技能者点
技術者と技能者の違い:
技術者:施工管理技士・建築士等の資格を有し、CPDを取得する者
技能者:現場で作業に従事し、CCUSの能力評価基準によりレベル評価を受ける者

技術者点は審査基準日前1年間に技術者が取得したCPD単位数の1人あたり平均値(換算後)を以下の表に当てはめて求めます。

技術者1人あたりCPD取得単位数(審査基準日前1年間・換算後 技術者点
30単位以上 10点
27以上30未満 9点
24以上27未満 8点
21以上24未満 7点
18以上21未満 6点
15以上18未満 5点
12以上15未満 4点
9以上12未満 3点
6以上9未満 2点
3以上6未満 1点
3未満 0点
CPD単位数はCPD認定団体ごとに換算係数が異なります(手引き告示別表第18)。各団体の取得単位数を換算係数で除し30を乗じた値の合計を技術者数で割った数値が1人あたり単位数になります。

技能者点は審査基準日前3年間にCCUSの能力評価レベルが1以上上がった技能者の割合を以下の表に当てはめて求めます。

技能者向上レベル評価者割合(審査基準日前3年間) 技能者点
15%以上 10点
13.5%以上15%未満 9点
12%以上13.5%未満 8点
10.5%以上12%未満 7点
9%以上10.5%未満 6点
7.5%以上9%未満 5点
6%以上7.5%未満 4点
4.5%以上6%未満 3点
3%以上4.5%未満 2点
1.5%以上3%未満 1点
1.5%未満 0点

技術者点・技能者点をそれぞれ求めたら計算式に当てはめ、その結果を以下の表21に当てはめてW18の最終点数を求めます。

計算式の算出値 W18の点数(表21)
10 10点
9以上10未満 9点
8以上9未満 8点
7以上8未満 7点
6以上7未満 6点
5以上6未満 5点
4以上5未満 4点
3以上4未満 3点
2以上3未満 2点
1以上2未満 1点
1未満 0点
計算例:技術者3人・技能者2人で技術者点が6点・技能者点が4点のとき
W18 =(3÷5)× 6 +(2÷5)× 4 = 3.6 + 1.6 = 5.2
→表21に当てはめると 5点(5以上6未満の区分)

W19:ワーク・ライフ・バランスに関する取組の状況(最大5点)

取得認定 点数
プラチナえるぼし認定またはプラチナくるみん認定 5点
えるぼし認定(3段階目)またはユースエール認定(上記非該当) 4点
えるぼし認定(2段階目)・くるみん認定・トライくるみん認定(上記非該当) 3点
えるぼし認定(1段階目)(上記非該当) 2点
無取得 0点

W110:就業履歴蓄積措置の実施状況(最大15点)

実施状況 点数
全ての建設工事で実施(CCUS) 15点
全ての公共工事で実施(CCUS) 10点
無該当 0点

W2:建設業の営業継続の状況

W2は営業年数の点数(W21)と民事再生法・会社更生法の適用の有無(W22)の合計です。

営業年数 点数 営業年数 点数
35年以上 60点 19年 28点
34年 58点 18年 26点
33年 56点 17年 24点
32年 54点 16年 22点
31年 52点 15年 20点
30年 50点 14年 18点
29年 48点 13年 16点
28年 46点 12年 14点
27年 44点 11年 12点
26年 42点 10年 10点
25年 40点 9年 8点
24年 38点 8年 6点
23年 36点 7年 4点
22年 34点 6年 2点
21年 32点 5年以下 0点
20年 30点
民事再生法・会社更生法の適用がある場合(W22):W2内で-60点。平成23年4月1日以降の申立てに係る手続きで終結決定を受けた場合、終結決定を受けた時から起算した年数で計算します。
営業年数は建設業の許可または登録を受けて営業を行っていた年数。営業休止期間は控除します。

W3:防災協定締結の有無

状況 点数
国・特殊法人等・地方公共団体との間で防災協定を締結している 20点
締結していない 0点

W4:法令遵守の状況

審査対象年に建設業法第28条の規定により処分を受けた場合の減点項目です。

状況 点数
処分なし 0点
指示処分を受けた場合 -15点
営業の全部または一部の停止を命ぜられた場合 -30点

W5:建設業の経理に関する状況

W5は監査受審状況(W51)と公認会計士等数(W52)の合計です。

監査受審状況(W51)

状況 点数
会計監査人の設置 20点
会計参与の設置 10点
経理処理の適正を確認した旨の書類の提出 2点
該当なし 0点

公認会計士等数(W52)

公認会計士等数値 = 公認会計士等(1級登録建設業経理士を含む)の数×1 + 2級登録建設業経理士の数×0.4

1・2級登録建設業経理士は登録経理士講習実施機関への登録が必要です。登録講習は5年に1度受講が必要です。

W6:研究開発の状況

研究開発費(2期平均)の額に応じて最大25点。会計監査人設置会社において、会計監査人が無限定適正意見または限定付き適正意見を表明している場合に限り対象となります。

平均研究開発費 点数
100億円以上 25点
75億円以上100億円未満 24点
50億円以上75億円未満 23点
(中略)
1億円以上2億円未満 2点
5,000万円以上1億円未満 1点
5,000万円未満 0点
W6は会計監査人設置会社かつ適正意見が前提のため、一般の中小建設業者には該当しないケースがほとんどです。

W7:建設機械の保有状況

経審で対象となる建設機械(ショベル系掘削機・ブルドーザー・トラクターショベル・大型ダンプ・移動式クレーン等)の保有(リース含む)台数に応じて最大15点です。

保有台数 点数 保有台数 点数
15台以上 15点 7台 11点
14台 15点 6台 10点
13台 14点 5台 9点
12台 14点 4台 8点
11台 13点 3台 7点
10台 13点 2台 6点
9台 12点 1台 5点
8台 12点 0台 0点

W8:ISO・エコアクション21の登録状況

認証・登録の状況 点数
エコアクション21の認証 + ISO9001 + ISO14001の登録 10点
ISO9001 + ISO14001の登録 10点
エコアクション21の認証 + ISO9001の登録 8点
エコアクション21の認証 + ISO14001の登録 5点
ISO9001の登録 5点
ISO14001の登録 5点
エコアクション21の認証のみ 3点
該当なし 0点

W評点を改善する方法

最優先

社会保険の完全加入(W11〜W13)

  • 未加入1項目につきW1内で×40点の減点。他の加点項目の効果をすべて打ち消します。まず社会保険の完全加入が前提です。

取り組みやすい加点項目

建退共・退職金・法定外労災(W14〜W16)

  • 各1項目あたりW1内で+15点。加入手続きは比較的短期間で完了します。
  • W14:建退共への加入
  • W15:退職一時金制度または企業年金制度(中退共・確定拠出年金等)の導入
  • W16:法定外労災上乗せ保険への加入(3要件を満たすこと)

継続的な取り組み

CPD・CCUS・若年技術者採用(W17・W18・W110)

  • W17:35歳未満の技術職員を継続的に採用・育成する。技術職員全体の15%以上で+1点、新規1%以上でさらに+1点。
  • W18:技術者が審査基準日前1年間にCPDを取得する。1人あたり平均単位数が高いほど点数が上がります。
  • W110:全工事でCCUSによる就業履歴蓄積を実施で+15点、全公共工事で実施で+10点。

事前に知っておきたいこと

審査基準日時点の加入状況が評価されます(W11〜W16)
経審の審査基準日(決算日)時点での加入状況で評価されます。審査基準日後に加入しても、その審査基準日の経審には反映されません。次の決算後の申請から反映されます。
確認書類は審査基準日を含む期間のものが必要です
審査当日に提示する保険の領収書・確認書類は、審査基準日を含む期間のものが必要です。期間が合わない書類は確認書類として認められません。
W4(法令遵守)は減点項目です
建設業法第28条による指示処分で-15点、営業停止処分で-30点になります。他の項目で積み上げた点数が一気に消えます。審査対象年に処分を受けている場合は必ず申請書に反映させてください。
W2(民事再生法・会社更生法)も大きな減点になります
民事再生手続または会社更生手続開始の決定を受けた場合、W2内で-60点になります。ただし終結決定を受けた後は、終結決定を受けた時から起算した年数で営業年数を計算します。
登録建設業経理士の登録講習は5年に1度の更新が必要です(W52)
登録が失効するとW52の計算対象から外れます。技術職員の資格管理と同様に、経理士の登録有効期限も年間で管理してください。
W18のCPDは審査基準日前1年間・W18の技能者レベルは審査基準日前3年間が対象です
技術者のCPD単位は審査基準日前1年間、技能者のCCUSレベルアップは審査基準日前3年間が評価期間です。それぞれ期間が異なるため注意してください。
W110(CCUS)は誓約書・同意書の提出が必要です
全工事または全公共工事で就業履歴蓄積措置を実施している場合、審査当日に様式第6号(就業履歴蓄積措置の誓約書及び同意書)の提出が必要です。

当事務所でできること

🏛 行政書士髙橋大輔事務所(三重県鈴鹿市)

「どこまで加入が必要か分からない」「W評点を改善したい」という段階からご相談に応じます。加入状況の整理・経審への反映タイミングの確認・申請書類の準備まで、トータルでサポートいたします。

初回のご相談・お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

仕組み
W =(W1〜W8の合計)× 10 × 175/200。比重はP点の15%
社会保険未加入はW1内で1項目×40点の減点。営業年数は最大60点
注意点
評価されるのは審査基準日(決算日)時点の加入状況。申請直前の加入では間に合わない
法人は原則すべて加入義務あり。「5人未満だから適用除外」は個人事業主のみ
対策
社会保険の完全加入を最優先に。その後、建退共・退職金・法定外労災(各+15点)を取り組む
CPD・CCUS・若年技術者採用は継続的な取り組みでW18・W110の改善につながる

📋 初回相談・お見積り無料

【免責事項】本記事は三重県建設業課発行の公式資料(令和8年4月版)をもとに一般的な情報提供を目的として作成しています。法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。
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