経審のZ点(技術力)とは?技術者の評価の仕組みと管理のポイントを解説【三重県版】


はじめに

経審(経営事項審査)のP点(総合評定値)を構成する5つの評点のうち、Z評点(技術力)は比重25%とX1(完成工事高)と並んで最も影響が大きい評点です。
しかも「資格があれば計上できる」というわけではなく、常勤性の確認・資格の有効期限・計上できる業種数など細かいルールが多くあります。この記事では、Z評点の仕組み・技術職員の資格区分と点数・常勤性の確認方法・実務でよく止まるポイントを三重県の手引きをもとに解説します。

Z評点の仕組み

Z評点は次の計算式で求めます(小数点以下切り捨て)。

Z評点の計算式:
Z = Z1(技術職員数の評点)× 0.8 + Z2(元請完成工事高の評点)× 0.2

技術職員数(Z1)の比重が80%と大きく、Z評点改善には技術職員の数・資格レベルの向上が最も効果的です。

項目 内容 比重
Z1 技術職員の数と資格レベルをもとに算出した「技術職員数値」をテーブル表(表17)に当てはめた点数 80%
Z2 元請として完成させた工事の年間平均完成工事高をテーブル表(表18)に当てはめた点数 20%

Z1:技術職員数の評点

Z1は次の2ステップで求めます。

STEP 1
技術職員数値を計算する

技術職員の資格区分ごとの人数に点数を掛けて合計した「技術職員数値」を算出します。

STEP 2
技術職員数値を表17に当てはめてZ1の点数を求める

STEP1で求めた数値をテーブル表(表17)に当てはめてZ1の評点を算出します。

STEP1:技術職員数値の計算

技術職員数値の計算式:
技術職員数値 = 1級監理受講者数×6 + 1級技術者数×5 + 監理技術者補佐数×4 + 基幹技能者数×3 + 2級技術者数×2 + その他技術者数×1
区分 該当する資格・条件 1人あたりの点数
1級(監理講習あり) 1級施工管理技士等の1級資格者で、審査基準日以前5年以内に交付された監理技術者資格者証を有し、かつ講習を受けた年の翌年から5年以内に審査基準日が含まれる者 6点
1級 1級施工管理技士・1級建築士・技術士など 5点
監理技術者補佐 1級技士補かつ主任技術者の資格も持つ者 4点
基幹技能者 登録基幹技能者講習を修了した者(有効期限内) 3点
2級 2級施工管理技士など(2級資格者) 2点
その他 実務経験10年など(国家資格なし)・法第7条第2号イ・ロ・法第15条第2号ハ該当者等 1点

STEP2:表17に当てはめてZ1の点数を求める

STEP1で算出した技術職員数値を以下のテーブル表(表17)に当てはめてZ1の点数を求めます。

技術職員数値 計算式
50以上 65未満 62×数値÷15+742
40以上 50未満 63×数値÷10+633
30以上 40未満 63×数値÷10+633
20以上 30未満 62×数値÷10+636
15以上 20未満 63×数値÷5+508
10以上 15未満 62×数値÷5+511
5以上 10未満 63×数値÷5+509
5未満 62×数値÷5+510
点数に小数点以下の端数がある場合は切り捨て。65以上の区分は手引き表17をご参照ください。
計算例:1級(監理講習あり)1人・1級1人・2級2人・その他1人の場合
【STEP1】技術職員数値 = 1×6 + 1×5 + 0×4 + 0×3 + 2×2 + 1×1 = 16
【STEP2】表17の「15以上20未満」の区分に該当 → 63×16÷5+508 = 201.6+508 = 709点(小数点以下切り捨て)

元請完成工事高(Z2)

Z2は元請として完成させた工事の年間平均完成工事高をテーブル表(表18)に当てはめて求めます。Z評点への比重は20%ですが、X1(完成工事高)の改善とも連動するため、元請工事を増やすことはP点全体に効果的です。

2年平均・3年平均の選択:Z2の計算基準(2年平均または3年平均)はX1(完成工事高)の選択と同一でなければなりません。
年間平均元請完成工事高 計算式
5億円以上 6億円未満 36×元請完成工事高÷100,000+911
4億円以上 5億円未満 40×元請完成工事高÷100,000+891
3億円以上 4億円未満 51×元請完成工事高÷100,000+847
2億5,000万円以上 3億円未満 30×元請完成工事高÷50,000+820
2億円以上 2億5,000万円未満 35×元請完成工事高÷50,000+795
1億5,000万円以上 2億円未満 45×元請完成工事高÷50,000+755
1億2,000万円以上 1億5,000万円未満 32×元請完成工事高÷30,000+730
1億円以上 1億2,000万円未満 26×元請完成工事高÷20,000+702
8,000万円以上 1億円未満 29×元請完成工事高÷20,000+687
6,000万円以上 8,000万円未満 36×元請完成工事高÷20,000+659
5,000万円以上 6,000万円未満 22×元請完成工事高÷10,000+635
4,000万円以上 5,000万円未満 27×元請完成工事高÷10,000+610
3,000万円以上 4,000万円未満 31×元請完成工事高÷10,000+594
2,500万円以上 3,000万円未満 19×元請完成工事高÷5,000+573
2,000万円以上 2,500万円未満 23×元請完成工事高÷5,000+553
1,500万円以上 2,000万円未満 28×元請完成工事高÷5,000+533
1,200万円以上 1,500万円未満 19×元請完成工事高÷3,000+522
1,000万円以上 1,200万円未満 16×元請完成工事高÷2,000+502
1,000万円未満 341×元請完成工事高÷10,000+241
元請完成工事高は千円単位で計算。点数に小数点以下の端数がある場合は切り捨て。5億円以上の区分は手引き表18をご参照ください。
計算例:年間平均元請完成工事高が8,500万円の場合
→「8,000万円以上1億円未満」の区分に該当(計算式:29×元請完成工事高÷20,000+687)
Z2の点数 = 29×85,000÷20,000+687 = 123.25+687 = 810点(小数点以下切り捨て)
下請工事のみの場合:Z2は0になりますが、Z1(技術職員数)の評点でカバーできます。まずZ1の改善(資格取得・講習更新)を優先してください。

常勤性の確認

技術職員として計上できるのは、審査基準日以前に6か月を超える恒常的な雇用関係があり、雇用期間を限定せず常時雇用されている従業員のみです。

常勤性の期間計算

「6か月を超える」の起算方法

  • 審査基準日(決算日)の前日を起算日とする
  • 起算日の6か月前の月の応当日の翌日を「6か月前」とする
  • 6か月前の前日以前から恒常的な雇用関係のある技術者が評価対象
計算例(審査基準日:令和8年3月31日):
起算日:令和8年3月30日 → 6か月前:令和7年10月1日 → 6か月と1日前:令和7年9月30日
令和7年9月30日以前から継続して雇用されている技術者が対象です。

常勤性の確認書類

審査当日に提示が必要な書類

  • 雇用保険事業所別被保険者台帳(審査基準日以降発行)または雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(どちらか一方でよい)
  • 標準報酬月額決定通知書(申請時直近のもの)
以下の場合は常勤性が認められません:
・パート・アルバイト・有期契約の場合
・他社に雇用保険が加入されている(他社との二重在籍の疑い)
・保険加入状況と実際の雇用形態に不一致がある
・住所と勤務地が大きく離れていて常勤性に疑義がある

継続雇用制度(65歳以下)の場合

定年後の再雇用制度等(継続雇用制度)の適用を受けている65歳以下の技術職員は、希望者全員を対象とする制度であれば計上できます。審査当日に様式第3号の提出が必要です(常時10人以上の労働者を使用する事業者は就業規則も必要)。

資格・講習の有効期限管理

技術職員の資格や講習には有効期限があります。期限切れがあると計上できる点数が下がるため、継続的な管理が重要です。

資格・講習 有効期限 期限切れの影響
監理技術者講習 受けた年の翌年1月1日から5年間 6点→5点に下がる
監理技術者資格者証 交付から5年間 有効期限内の資格者証がなければ6点区分に計上できない
登録基幹技能者講習修了証 講習修了証に記載の有効期限内 有効期限切れは3点→計上不可になる
1・2級施工管理技士等の資格証 原則として有効期限なし 前回提示済みで変更なしのものは再提示不要
技術職員ごとに期限を一覧管理してください:複数の技術職員がいる場合、個別に期限が異なります。毎年の経審前に全技術職員の資格証・講習証の有効期限を一覧で確認する習慣が点数の維持につながります。

計上できる業種数のルール

1人の技術職員が計上できるのは最大2業種までです。3業種以上に同一人物を計上することはできません。

業種と資格の対応

資格がその業種で有効かどうかを確認する

  • 各資格は対応する業種でのみ計上できます。手引きの表12(技術職員有資格区分コード表)で業種ごとに対応する資格を確認してください。
  • 登録基幹技能者は、修了証に記載された業種でのみ加点対象になります。
  • 実務経験(国家資格なし)で計上する場合は、その業種での実務経験が必要です。新規掲載者は事前に実務経験証明書を管轄建設事務所に提出する必要があります。

よく止まるポイント

止まりやすいポイント①:技術者の常勤性が確認できなかった

雇用保険に未加入・他社でも雇用保険に加入している・保険の加入状況と実際の雇用形態が一致しない、といったケースで確認に時間がかかります。採用時から雇用保険・社会保険の加入状況を整理しておくことが重要です。

止まりやすいポイント②:監理技術者講習の有効期限が切れていた

最も多いケースのひとつです。期限切れに気づかないまま申請書に6点で計上していると、審査当日に修正が必要になります。毎年申請前に全技術職員の講習修了証の有効期限を確認してください。

止まりやすいポイント③:資格証が見つからなかった

前回提示済みで有効期限のないものは再提示不要ですが、新規計上者の資格証・初回申請時は資格証の提示が必要です。入社時に資格証のコピーを取得して保管しておく体制を作ってください。

止まりやすいポイント④:3業種以上に同一技術者を計上していた

1人が最大2業種までという制限を知らずに申請書を作成していたケースがあります。技術職員名簿(別紙二)を作成する前に、業種ごとの対応技術者をリスト化して確認してください。

事前に知っておきたいこと

Z評点は技術者の退職で即座に下がります
審査基準日に在籍していなければ計上できません。審査基準日直前の退職は大きな影響を与えます。採用・退職のタイミングと審査基準日(決算日)の関係を意識した人員管理が重要です。
資格取得支援が点数に直結します
2級保有者が1級を取得すると2点→5点に増加します。1級取得に要する時間と費用を考えると、早めに計画を立てて資格取得を支援することがZ評点改善に最も効果的です。
監理技術者講習は「受けた年の翌年から5年以内」が有効期間です
講習を受けた年そのものは有効期間に含まれません。例えば令和5年に受講した場合、有効期間は令和6年1月1日から令和10年12月31日までです。審査基準日がこの期間内に含まれているかを確認してください。
1人の技術職員が同じ業種に複数の資格で重複計上することはできません
同一業種に1人の技術職員を1回しか計上できません。例えば1級(監理講習あり)で計上した技術職員を、同じ業種に1級としても重ねて計上することはできません。
Z2の計算基準はX1と同一でなければなりません
元請完成工事高(Z2)の2年平均・3年平均の選択は、完成工事高(X1)の選択と同一でなければなりません。X1で3年平均を選択した場合はZ2も3年平均になります。
実務経験(国家資格なし)で新たに計上する場合は事前提出が必要です
初めて実務経験のみで技術職員を計上する場合(新規掲載者)は、審査当日までに実務経験証明書を管轄建設事務所に事前提出する必要があります。審査当日の持参では受け付けられません。
継続雇用制度(定年後再雇用)の計上には様式第3号の提出が必要です
定年後の継続雇用制度の適用を受けている65歳以下の技術職員を計上する場合、審査当日に様式第3号の提出が必要です。常時10人以上の労働者を使用する事業者は就業規則の提示も必要です。

当事務所でできること

🏛 行政書士髙橋大輔事務所(三重県鈴鹿市)

「この資格で評価対象になるか確認したい」「技術者の常勤性に不安がある」という段階からご相談に応じます。技術職員名簿の作成・資格証の整理・常勤性確認まで、申請書類の準備をサポートいたします。

初回のご相談・お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。

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まとめ

仕組み
Z = Z1×0.8+Z2×0.2。技術職員数値(各資格の点数の合計)を表17に当てはめてZ1を算出
資格レベルに応じて1点〜6点。1人につき最大2業種まで計上可能
注意点
常勤性(審査基準日以前6か月を超える恒常的な雇用)の確認が必須
監理技術者講習・登録基幹技能者講習は有効期限あり。期限切れで点数が下がる
対策
技術職員ごとに資格証・講習証の有効期限を一覧管理し、2級から1級への資格取得を計画的に支援する
採用・退職のタイミングと審査基準日(決算日)の関係を意識した人員管理が重要

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【免責事項】本記事は三重県建設業課発行の公式資料(令和8年4月版)をもとに一般的な情報提供を目的として作成しています。法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。
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