経審を受けるメリット・デメリットを解説|受審を検討する前に確認すべきこと

はじめに

公共工事に参入したい建設業者にとって、経審(経営事項審査)の受審は避けて通れない手続きです。
しかし「手続きが複雑そう」「毎年続けるのが負担では」と、踏み出せないままになっているケースも少なくありません。
一方で、受審することで公共工事への参入だけでなく、会社の管理体制が整う・対外的な信頼につながるといった副次的なメリットもあります。
この記事では、経審を受けることの具体的なメリット・デメリットと、受審前に整理しておくべき判断ポイントを三重県の手引きをもとに解説します。
「受けるべきかどうか」を検討している方はまずここから確認してください。

経審を受けるメリット

MERIT 01

公共工事を元請として受注できるようになる

最大のメリットです。県・市町村・国などが発注する公共工事を直接受注するには、経審を受けることが法律で決まっています。経審を受けていなければ、実績がどれだけあっても入札に参加することができません。

MERIT 02

「どんな会社か」が数字で示せる

経審のP点は全国共通の基準で計算された数字です。民間工事の元請や大手建設会社の協力会社に登録する際に「経審を受けているか・点数はいくつか」を確認される場面が増えており、対外的な信頼の証明として使えます。

MERIT 03

会社の管理体制が自然と整う

経審では技術者の資格・社会保険の加入・工事実績の整理などを毎年確認する必要があります。受審を続けることで、これらが自然と年間管理できる体制になります。若い技術者の育成やCCUS(建設キャリアアップシステム)の活用も、W評点(社会性等)の加点項目として評価されます。

MERIT 04

点数が高いほど大きな工事に参加できる

P点の高さによって参加できる工事の規模が変わります。点数が高いほど金額の大きい工事の入札に参加でき、受注のチャンスが広がります。P点は全国共通のため、三重県以外の入札参加申請にも使えます。

経審を受けるデメリット・負担

DEMERIT 01

手続きが複数あって最初は大変

経審は決算変更届・民間機関への申請・三重県への申請と、3つの手続きが順番につながっています。書類の書き方のルールも細かく、初めて受ける場合は準備に時間がかかります。

DEMERIT 02

毎年続けて管理する必要がある

経審の有効期間は決算日から1年7か月しかありません。「一度受ければOK」ではなく、毎年決算後に受審し直す必要があります。年間を通じた管理が必要です。

DEMERIT 03

費用が毎年かかる

三重県への申請手数料は業種数によって変わります(1業種で11,000円、電子申請は10,400円)。これに加えて民間の分析機関への手数料や、行政書士に依頼する場合はその費用も毎年かかります。

DEMERIT 04

経審を受けただけでは公共工事は受注できない

経審でP点を取得した後、発注機関ごとに別途「入札参加資格の申請」が必要です。三重県の場合は「三重県建設工事入札参加資格者名簿」への登録申請が必要になります。経審はあくまで「スタートライン」です。

点数(P点)を上げるために何をすればいい?

経審は受けるかどうかだけでなく、取れた点数の高さが受注できる工事の規模に直接影響します。点数を上げるための主なポイントを項目別に整理します。

評点ごとの点数アップポイント

評点 点数を上げるには
X1(工事実績) 元請工事を増やす。2年平均と3年平均のどちらが有利か確認して選ぶ
X2(会社の体力) 純資産(自己資本)を増やす。利益を出して内部留保を積む
Y(財務の健全さ) 借金を減らす・利益を出す・自己資本の比率を上げる
Z(技術力) 1級資格者を増やす・監理技術者講習を受ける・元請工事の実績を増やす
W(社会的信頼) 社会保険に全員加入・建退共に加入・法定外労災に加入・CCUSを活用する

技術者の資格レベルで点数が変わる

Z評点(技術力)では、技術者1人ひとりに資格に応じた点数がつきます。

資格の区分 1人あたりの点数
1級資格者で監理技術者講習を5年以内に受けた人 6点
1級施工管理技士・1級建築士など 5点
1級技士補かつ主任技術者の資格も持つ人(監理技術者補佐) 4点
登録基幹技能者講習を修了した人 3点
2級施工管理技士など 2点
実務経験10年など(資格なし) 1点
見落としがちなポイント:監理技術者講習は受けた年の翌年1月1日から5年間だけ有効です。更新しないと6点→5点に下がります。技術者ごとに講習の期限を管理しておくことが点数の維持につながります。

W評点(社会的信頼)で取りやすい加点項目

W評点は準備次第で点数を上げやすい項目です。対応しやすいものから取り組んでみましょう。

  • 雇用保険・健康保険・厚生年金への加入(未加入は減点になる)
  • 建設業退職金共済(建退共)への加入と適正な運用(最大15点)
  • 法定外の労災上乗せ保険への加入(15点)
  • 退職金制度や企業年金制度の導入(15点)
  • CCUS(建設キャリアアップシステム)で就業履歴を記録する体制(最大15点)
  • 若年技術職員の継続的な育成・確保(35歳未満の割合が15%以上)(1点)
    新規若年技術職員の育成・確保(35歳未満の新規採用割合が1%以上)(1点):合計最大2点
  • エコアクション21・ISO9001・ISO14001の認証取得
    (エコアクション21のみ:3点/ISO9001またはISO14001のみ:5点/組み合わせで最大10点

受審を決める前に確認しておくこと

「経審を受けるべきかどうか」を判断するために、まず次の点を整理しましょう。

確認すること 判断のポイント
公共工事を元請として受注する予定はあるか あるなら受審は必須。今のところ予定がなければ急がなくてもいい
元請や発注者から経審を求められているか 求められているなら早めに動き始める
毎年の決算変更届を出しているか 出ていなければ先にそちらを整理する必要がある
技術者の資格・雇用状況は整っているか 整っていないと技術力の点数(Z評点)が低くなる
何業種で申請したいか 業種数によって手数料が変わる

事前に知っておきたいこと

「経審を受ければ公共工事が取れる」→ 取れるわけではありません

経審で結果通知書を取得した後、発注機関ごとに「入札参加資格の申請」が別途必要です。
三重県の場合は「三重県建設工事入札参加資格者名簿」への登録申請が必要になります。経審はあくまでも最初の一歩です。

「点数は低くてもいい」→ 点数によって参加できる工事の規模が変わります

点数が高いほど大きな工事の入札に参加できます。
「受けただけ」と「点数を意識して取り組んだ」では、長い目で見たときの受注チャンスに大きな差が出ます。

「許可更新と同じで5年に1回でいい」→ 経審は毎年必要です

建設業許可の更新は5年ごとですが、経審の有効期間は1年7か月だけです。毎年受審しないと有効期間が切れます。

「下請けなら関係ない」→ 元請会社の方針によっては求められることがあります

法律上は下請けだけなら経審は不要です。ただし、元請会社の方針によって「経審を取っている協力会社に限る」という条件をつけられることがあります。
将来的に公共工事に関わりたい場合は早めに準備しておくと安心です。

なぜ継続的な管理が大事なのか

高いP点を毎年維持するためには、「経審の直前に慌てて書類をそろえる」ではなく、日ごろから少しずつ管理しておくことが重要です。

  • 工事が終わるたびに実績と配置技術者を記録しておく
  • 技術者の資格証・講習修了証の有効期限を一覧表で管理する
  • 雇用・健康・厚生年金保険の加入状況を決算日前に確認する
  • 建退共の証紙購入・手帳の更新を毎年きちんと行う
  • 35歳未満の技術者(若手)の採用・育成を意識する
  • 決算変更届は決算後4か月以内に忘れずに提出する
ポイント:毎年きちんと整理している会社ほど、経審当日の準備がスムーズで審査時間も短くなります。まとめてやろうとすると、過去の工事書類や技術者の情報を探すだけで時間がかかり、思わぬトラブルにつながります。

まとめ
メリット
最大のメリットは公共工事を元請として受注できること
客観的な会社評価・会社体制の整備につながる副次的メリットもある
注意点
経審だけでは公共工事は受注できない。入札参加資格申請が別途必要
「受けるだけ」でなくP点(格付け)を意識することが長期的な受注機会につながる
対策
技術職員の資格管理・保険整備・建退共加入など継続管理が点数維持の鍵
まず「受審の目的」を整理してから準備を始めることで、方向性のぶれが防げる

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🏛 行政書士髙橋大輔事務所(三重県鈴鹿市)

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【免責事項】本記事は三重県建設業課発行の公式資料(令和8年4月版)をもとに一般的な情報提供を目的として作成しています。法的助言を提供するものではありません。個別の事情により手続きや結果が異なる場合がありますので、具体的なご相談は専門家にお問い合わせください。
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