はじめに
公共工事に参加するには、経審(経営事項審査)を毎年受け続ける必要があります。しかし「いつまでに申請すればいいのか」「期限が切れるとどうなるのか」を正確に把握していないまま進めているケースが少なくありません。
申請が遅れると「公共工事を請け負える期間」が短くなり、最悪の場合は切れ目が生じて工事を受注できない期間が発生します。この記事では、経審の有効期間の仕組み・更新タイミングの目安・準備の進め方を三重県の手引きをもとに解説します。
有効期間は「審査基準日から1年7か月」
経審の結果通知書(P点)には有効期間があります。公共工事を発注者から直接請け負うことができるのは、審査基準日(直前の決算日)から1年7か月の間だけです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 審査基準日 | 申請の直前の事業年度終了の日(決算日) |
| 有効期間 | 審査基準日から1年7か月 |
| 結果通知書の発送 | 申請月の翌々月20日ごろ(電子申請は翌月20日ごろ) |
| 有効期間の始まり | 結果通知書が届いたときではなく、審査基準日(決算日)から起算 |
申請が遅れるとどうなるか
申請が遅れると次の問題が起きます。
問題①
有効期間が短くなる
審査基準日から1年7か月が有効期間のため、申請が遅れるほど実際に使える期間(結果通知書受領〜有効期間終了まで)が短くなります。
問題②
有効期間に切れ目が生じる
前回の有効期間が終わる前に次の結果通知書が届かないと、公共工事を請け負えない空白期間が発生します。この期間中は入札に参加できません。
いつ準備を始めればいいか
決算が確定した後、4〜5か月以内に三重県への申請を終えることが目安です。ただし、申請前に済ませておかなければならない準備があるため、実際にはもっと早めに動き始める必要があります。
決算が確定したら、経審用の工事経歴書(税抜き)と財務書類の準備を始めます。税理士との連携が必要な場合が多いです。
決算変更届の提出が経審の前提条件です。期限は決算後4か月以内ですが、経審への影響を考えると早めの提出が重要です。
Y評点の算出に数日〜2週間程度かかります。三重県への申請より先に余裕をもって申請してください。
事前予約が必要です。経営状況分析結果通知書が届いてから申請します。遅くても決算後5か月以内を目安に。
書留郵便で届きます。再発行不可のため、受取後30日以内に内容を確認し大切に保管してください。
年間スケジュールの目安
決算月別の申請タイムラインの目安です。
| 決算月 | 決算変更届 | 経営状況分析申請 | 三重県への申請 | 結果通知書到着 |
|---|---|---|---|---|
| 1月末 | 2月〜3月頃 | 2月〜3月頃 | 4月〜5月頃 | 6月〜7月頃 |
| 2月末 | 3月〜4月頃 | 3月〜4月頃 | 5月〜6月頃 | 7月〜8月頃 |
| 3月末 | 4月〜5月頃 | 4月〜5月頃 | 6月〜7月頃 | 8月〜9月頃 |
| 4月末 | 5月〜6月頃 | 5月〜6月頃 | 7月〜8月頃 | 9月〜10月頃 |
| 5月末 | 6月〜7月頃 | 6月〜7月頃 | 8月〜9月頃 | 10月〜11月頃 |
| 6月末 | 7月〜8月頃 | 7月〜8月頃 | 9月〜10月頃 | 11月〜12月頃 |
| 7月末 | 8月〜9月頃 | 8月〜9月頃 | 10月〜11月頃 | 12月〜1月頃 |
| 8月末 | 9月〜10月頃 | 9月〜10月頃 | 11月〜12月頃 | 1月〜2月頃 |
| 9月末 | 10月〜11月頃 | 10月〜11月頃 | 12月〜1月頃 | 2月〜3月頃 |
| 10月末 | 11月〜12月頃 | 11月〜12月頃 | 1月〜2月頃 | 3月〜4月頃 |
| 11月末 | 12月〜1月頃 | 12月〜1月頃 | 2月〜3月頃 | 4月〜5月頃 |
| 12月末 | 1月〜2月頃 | 1月〜2月頃 | 3月〜4月頃 | 5月〜6月頃 |
建設業許可の更新とは別管理
建設業許可の更新は5年に1回ですが、経審は毎年受け続ける必要があります。「許可を更新したから経審も大丈夫」という思い込みは危険です。
| 建設業許可 | 経審(経営事項審査) | |
|---|---|---|
| 有効期間 | 5年間 | 審査基準日から1年7か月 |
| 更新頻度 | 5年に1回 | 毎年 |
| 申請先 | 三重県(管轄建設事務所) | 民間機関+三重県 |
| 前提条件 | なし(新規取得) | 建設業許可の取得+決算変更届の提出 |
よくあるトラブル
入札参加の申請をしようとして初めて気づくケースがあります。有効期間の終了日は結果通知書に記載されています。毎年確認してください。
最も多いケースです。審査当日に発覚すると受審できません。経審の準備を始める前に、決算変更届の提出状況を必ず確認してください。
民間機関への申請が遅れて結果通知書が届かず、三重県への申請も遅れるケースです。決算後できるだけ早く民間機関に申請することが重要です。
経審の有効期間(審査基準日から1年7か月)が切れると、名簿から削除されます。申請が遅れて有効期間に空白が生じると、その期間は名簿に載れなくなります。
建設業許可の更新は5年に1回ですが、経審は毎年です。許可の更新年かどうかに関わらず、毎年決算後に経審を受ける必要があります。
事前に知っておきたいこと
申請が遅れても有効期間の起点は決算日のまま変わりません。申請が遅れた分だけ、実際に使える期間が短くなります。
1年でも経審を受けなければ有効期間が途切れ、入札参加資格が失効します。再度申請しても、次の結果通知書が届くまで公共工事は受注できません。
早めに経審を申請すると、入札参加名簿の更新タイミングに合わせられます。ギリギリの申請では、せっかく点数が改善していても参加できる工事の機会を逃す場合があります。
当事務所でできること
「更新時期が分からない」「今のままで間に合うか不安」という段階からご相談に応じます。有効期間の確認・申請スケジュールの整理・書類準備まで、年間を通じてサポートいたします。
初回のご相談・お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。

